香の力
話をバラに戻しましょう。現代私たちが普通に見ることができるバラは、いったいいつごろどこで生まれたものなのでしょうか。これまでの記述から、バラと人間との付き合いは、相当古いものであったと言うことが、おおよそお分かりいただけることと想います。
現代世界でもっとも有名なバラは、ブルガリアのダマスクローズですが、もともとは海抜2000メートルから4000メートルほどの暖かい山麓や丘陵地帯にある、ヒマラヤやカラコムあたりであったことが知られています。
なんと、およそ3500万年前と推定されるバラの化石も発見されているというのですから驚きですね。と、いうことは、こんな大昔から地球上のいたる地域で、バラが咲き乱れていたということになりますね。地球上にバラが誕生したのはさらにさかのぼって7000万年前とも言われているので、人類はバラと共に歩んできたともいえるわけです。
現在栽培種を除いて、野生のバラは世界で200種ほどだと言われていますが、その一つハマナスが、東北や北海道の沿岸地域に咲き乱れていましたが、現代はほとんど目にすることがなくなりました。一方で、日本に現存する日本原種の多くのバラが絶滅の危機にあるとの声もあり、危惧されているのが現状です。
バラは「花の女王」と称されるとおり、歴代の王侯貴族らに、こよいなく愛され、政治の重要な場面で、たびたび登場しています。有名なものに「バラ戦争」がありますよね。1945年から30年間、イギリスで起こったバラ戦争では、王位継承権を巡って激しく対立するランカスター家とヨーク家では、紋章に一方は紅バラ、一方は白バラを用い、胸に着けて戦っていたといいますから、なんとも優雅なものです。