リラクゼーションとしてのバラの香
癒しにかける今昔
香と人間とのつながりは、6000年以上前から続いています。最も古い文献としては、紀元前30年頃のエジプトで、王侯貴族らが、強い殺菌力とほのかな香を持った没薬(もつやく=ミルラ)をミイラの保存のために利用されていたという記述があります。
また時の女王クレオパトラは、お風呂にバラを敷き詰め、その香で男性を誘惑したとかしなかったとか・・・。このミルラの名称は、キリスト教の聖典である聖書にも登場します。イエスキリストの生誕を祝し、三人の東方の賢人らが赤子に贈ったものの中に、乳香と共にでてきます。
どちらも当時は大変貴重であり、めったに手に入らぬ珍品でした。バラの精油は、今でも50本に一滴しか抽出できないとされる、大変貴重なものですから、まして当時としては、大変な物だったことは想像に難くないですよね。お風呂にバラの花びらを敷き詰めるという風習は、けっしてクレオパトラのオリジナル品というわけではありません。
古代ローマの歴代の王様たちが、贅をつくした贅沢のひとつとしてたびたび行われていたようです。さらにローズオイルを体に塗ったり、部屋にバラが放つ香でうずめつくしたりといったことも、すでに始まっていました。
では日本ではどうかといいますと、さすがにバラはまだなかったにしても、仏教文化の影響を受けて、仏前に御香を炊くといった行為が、すでに奈良時代には始まっていましたし、平安時代には、貴族の間で、身だしなみとしてお香が日常的に使われていたようです。世界各国を見ても、文化の違いによって、香の位置づけは様々ですが、やはり香と深く関わってきた様子が、うかがえます。